上品さと優しい笑顔が印象的な門脇潤枝さん。結婚・出産を機に働き方を見直したという彼女が選択したのは”キラキラした自分になる”ための道。彼女はなぜ”フォトグラファー”を選んだのか……。母として、女性として、輝いていたいと強く願う門脇さんの心の内を聞いた。
“好きなものを撮る”そのこだわりは 子どもの頃から
小学生の頃からカメラで遊ぶのが好きだったんです。インスタントカメラを持ってご近所の散策に出かけたりして(笑) 仲良しのワンちゃんの写真を撮ったり、野良猫の写真を撮ったり、自分の好きなものを撮るのに夢中になっていました。
インスタントカメラの良いところは、現像しないと写真が見られないこと。写真屋さんに行って、現像してもらった写真を受け取る瞬間が最高にワクワクしました。
撮った写真は大事にファイリングしていたんですが、「これはいらないな〜」と省いていた写真も、母は大切に保管していてくれたみたいで。今でも残してくれています。
私が写真を撮ると「上手だね〜」と褒めてくれるので、写真を撮ることがどんどん好きになっていきました。
大学1年生の頃には、父に一眼レフカメラを買ってもらいました。大学時代にイギリス留学も経験しているのですが、そのカメラを連れて留学に行ったのも良い思い出です。
留学前は”人”よりも風景や動物などを撮ることが好きでしたが、留学してからは”人”を撮る面白さにも気づけるようになりました。
留学先のイギリスには、街中で老夫婦が仲睦まじく寄り添って歩く姿など、絵になる日常がたくさんあったんです。キレイな景色に溶け込む人々の日常、それ自体がとても美しくて。日本ではあまり見ないような光景だったこともあって、ステキだな〜と思える瞬間を撮っていました。
情熱を持って働いているか? 自分に問いかけて”カメラ”を選んだ
カメラは身近な存在でしたが、仕事にするなんて発想もありませんでした。
大学卒業後は食品メーカーで営業をしたり、電機メーカーでマーケティングをしたりと、安定した会社員の生活を送ることに。
その後、結婚して子どもが生まれたことをきっかけに、自分の働き方を見直すようになりました。ポイントは「かっこいいお母さんでいたい」「キラキラしている自分でいたい」ということ。そのために、「自分の長所が活かせているか」や「情熱を持って働けているか」など、これまで考えもしなかったことを自分に問いかけるようになっていきました。
好きなことをしている時こそ、心も満たされて、キラキラと輝けると思うようになって。ふと思いついたのが「写真」でした。
そこで、思い切って会社員生活を卒業することにして、写真の学校に通うことにしたんです。
家族に迷惑をかけてしまうかな?と不安もありましたが、夫も「やりたいなら頑張ってみれば?」と背中を押してくれましたし、育児や家事も分担しながらサポートしてくれました。
モデル撮影の練習は土日に入ることも多かったですし、レタッチなどは子どもが寝た後にやることもあって、両立は大変でしたけどね(笑)
私が頑張る姿を子どもたちにも見せたいという思いもあったので、良い原動力になったと思います。
その後、ロケーションフォトのフォトグラファーとしてデビューしました。
“限りなくリアルに近い世界” 尊い日常の輝きの中に見つけたもの
自分が母親になったことで、スクールフォトという存在を知りました。ロケーションフォトで子どもたちを撮影していたので、経験を活かせるかなと思って、思い切ってリンクエイジの求人に応募してみたんです。
スクールフォトは未経験でしたが、「自然体の子どもたちを撮影する」というリンクエイジの方針にも共感できましたし、子どもたちに囲まれる現場はきっと楽しいだろうな思って。新しい挑戦は大変なこともありますが、楽しくお仕事させてもらっています。ロケーションフォトは、ディレクションが大事だったりしますから。スタジオフォトほどではないですが、いい写真を残すために「こうやって立ってみて」とか「ああしてみて」とか、指示を出すことがあるんです。
一方で、スクールフォトは、限りなくリアルに近い世界。ディレクションがなくても、一枚の写真にドラマがあって、感情が見える写真を撮れるというのが魅力的だなと思います。
目の前には尊い日常の輝きがあって、その輝きを撮れるというのが最高です。
例えば…自由時間。ひらがなのポスターの前で年長児と年少児が並んでいるのを見つけました。意識せずに見たら、子どもが2人で立っているだけの様子です。
ところが、じっくり様子を見てみると、年長児が年少児にひらがなを教えているところでした。2人でニコニコしながらコミュニケーションを取る様子は、とってもハートウォーミングで。私の胸もズキュンと(笑) この瞬間を保護者が見れば「うちの子、こんなことできるんだ〜」と喜んでもらえるんじゃないかなと。
我が子の成長や優しさを感じられるような心温まるシーンがたくさんあるので、そういう尊い瞬間を撮ってあげたいなと思っています。
もちろんです。子どもたちの成長を見つけて現場で泣きそうになることもあって。
卒園式だからとか、発表会だからとか、特別な日だけではないんです。日常生活の中で見つける小さな成長だけでも、心にグッと刺さるものがあります。
前回の撮影では見られなかった子どもたちの新たな一面を垣間見ると、一人一人の成長を見守れているような気持ちになるので、撮影しながら1人でジーンとなったりしています。
とにかく被写体が多いので、限られた時間内でみんなを撮るというのが難しいですね。記録用というか、事務的な写真は撮りたくないので、一人一人に向かって自分が足を動かして撮るということを意識しています。運動量は多めですね(笑)
時には、母親としての経験も活かしながら、次はこうしたいのかな?とか、こういう表情だからタイミングが違うかな?とか、子どもたちの行動を予測しています。。
子どもたちが輝いている瞬間、何かに集中している瞬間、楽しいって感情が爆発している瞬間、そんな瞬間が撮れると、良い写真が撮れたな〜と思えます。
母親としての経験でいうと、「保護者が求める写真」を意識して撮影しています。
家庭では見られないような子ども達の自然な様子をお届けしたいですし、自分がこの子の親なら、こんな表情見たいな〜なんて考えながら、子ども達のキラキラした瞬間を撮り逃さないようにカメラを構えているつもりです。
とはいえ、私はフォトグラファーですから。目立ちすぎてもダメで……あまり前に出てしまうと、かえって不自然な写真になってしまうこともあります。ちょうど良い距離感というのを考えながら撮影しています。
あまり存在感を出しすぎると子どもたちが寄って来てしまうので、黒子のようなイメージでいるようにしているんですが……逆に集合写真やグループ写真は、みんなを集めて前を向かせないといけないので、そういうメリハリも難しいなと思います。
そういう時は、先生たちの動きや言葉掛けを参考にすることもあるんですよ!!(笑)
先生たち、子どもたちへの言葉掛けがすばらしいんです!!!!!
”圧倒的な子ども目線”で、どんなこともポジティブに声を掛けていて。子どもたちを前向きな気持ちにするあたりが、まさにプロの神業。
「みんなで楽しく集合写真を撮ろ〜」と明るく誘ってくれるので、子どもたちも楽しそうに反応するんです。保育の現場は、親としても勉強になることがたくさんあります。
“「愛」を残せるもの” そんな写真を、私は撮りたい
愛は言葉も国境もない、ユニバーサルなものだと思います。絶対的に良いものであると実感する一方で、目に見えるものではないですから、気づこうとしないと気づけないものでもあります。
写真は、目に見える形で「愛」を残せるものだと思うので、その愛に気づいてもらえるような一枚を撮れたら良いなと思っています。
私自身も、ロケーションフォトで家族写真を撮ってもらったことがあるのですが、夫と2人でただ歩いている写真なのに、写真を受け取ってみてびっくり。夫婦でこんなに仲良く寄り添っていたんだな〜と、改めて「愛」を感じることができたんです。
きっとあらゆるところに愛はありますから、その愛を残してあげられるような、メッセージ性のある写真を撮りたいなと思います。
まずは写真のクオリティを上げたい!! これですね。現状に満足することなく、スキルアップのための努力は続けていきたいです。とにかくカメラを極めたいと思っています。
それから、私にはカメラと同じくらい大切にしていることがあるんです。それは、日本文化を伝承するということ。
母は茶道の先生なので、私も幼い頃から茶道や日本舞踊に慣れ親しんできました。留学をしたことで、改めて日本の文化のすばらしさを実感して、日本の良さというものを外国の方にも伝えていきたいなと考えるようになりました。今は様々なことにチャレンジしながら、その方法を模索しているところです。
フォトグラファーとして日本文化の伝承を実現させるということも挑戦ですね。「写真×茶道」「写真×着物」など、考えればいろんなことが思い付きますから!!
カメラも、日本文化も、すべての基本は「好き」という気持ちです。これからも、キラキラした自分でいられるように前を向いて歩んでいきたいと思います。
愛を語る彼女は、どこまでも純粋で朗らかだった
周囲を癒すような上品で優しい笑顔 美しい言葉で紡ぐ彼女の想い
それは、これまでの彼女が自分の人生を丁寧に生きてきた証
彼女が見つめる未来は 好きなものに囲まれて
キラキラと輝き 愛に溢れている