STORY

愛の原点は「思いやり」にあり 愛ある仕事を多才にこなす

自宅でのオンラインインタビュー中に時折聞こえてくるのは小さな子どもたちの笑い声。そんな穏やかな家庭の中で優しい笑顔を見せるのは吉野圭介さん36歳だ。彼は4人の子どもを育てる父親なのだが、実は3つの分野でプロの仕事をする凄腕の持ち主でもある。その全てに愛を持って向き合う吉野さんに、どんな仕事にも本気になれる理由を聞いた。

Qはじまりは「生まれてくる我が子のために」 ―吉野さんとカメラとの出会いを教えてください。

私はもうすぐで37歳になりますが、子どもが4人います。

結婚をして妻が一人目の子どもを妊娠したタイミングで、一眼レフを買いました。生まれてくる子どもの写真を、これからたくさん撮ってあげたいと思ったからです。

正直なところ、カメラにどんな違いがあるのかも分からない…というような素人でしたが、当時職場の先輩にカメラに詳しい方がいらっしゃったので相談をしてみたら、一眼レフをお勧めされました。初心者で一眼レフなんて大丈夫かな? と心配もありましたが、分からないことがあっても先輩に聞けば教えてもらえる‼︎という気持ちもあったので、思い切って一眼レフを選びました。

あの頃お腹にいた子どもは、もう中学生です。10年以上「父親として」写真を撮り続けてきました。

Q父親として、4人のお子さんを撮り続けてこられたんですね‼︎ フォトグラファーというお仕事に出会うまでのことを教えてください。

私は3つの仕事をしています。1つ目は柔道整復師・理学療法士というリハビリのお仕事、2つ目はレザークラフトアーティスト、そして3つ目がフォトグラファー、この3つが「私の仕事」です。3つも? と驚かれる方も多いと思いますが、どのお仕事も「現在進行中」で続けているお仕事になるので、フォトグラファーになるために、何か別の道を断念したとか、そういった進路選択はしてきませんでした。

専門学校を卒業してから「柔道整復師」として働いていましたが、リハビリ領域の幅を広げたかったので「理学療法士」の資格も取りました。その後、趣味で作っていたレザークラフト作品を販売するようになったので、自分の作品・商品を魅力的に撮るために「物撮り」の写真を勉強するようになったんです。やり始めたら追求したくなるのが私の性格で、上達するためには「仕事」にして、苦手なことにも向き合えるような環境を作ろうと思いました。

Q3つのお仕事ですか‼︎最初は一つのお仕事だけだったんですか?

社会人になったばかりの頃は、柔道整復師のお仕事だけでした。

高校生の頃、ずっと頑張ってきた陸上で怪我をしてしまって、手術を受けてリハビリをすることになったんです。怪我をしてしまったら選手生命が絶たれてしまうのではないかという不安の中で、私の気持ちに寄り添って励ましてくれたのがリハビリを担当してくれた柔道整復師さんでした。この先生に出会ったことで、自分も先生のような柔道整復師になりたいと思ったんです。

この先生の元で仕事をしたかったので、学校はあえて夜間の専門学校を選び、昼間は先生の助手として病院で働かせていただきました。今は別の病院で働いていますが、今でも私の目標の先生です。

1つの思いと3つのお仕事 「思いやり」で深まる愛ある仕事たち

Q柔道整復師がスタートだったんですね。そこからレザークラフトやフォトグラファー…全く想像つかない組み合わせです。

確かに分野の違う仕事ですが、「相手と対峙する」という点では基本的な姿勢は同じだと感じています。

どの仕事においても「思いやり」が大切で、「相手の立場になって考える」ということを大切にしているんです。

例えば、リハビリに来る患者さんの中には、親身に話を聞いて欲しい方もいれば、逆に明るく接して欲しい方もいます。一人一人の患者さんに対して、どう向き合ったら良いかということを常々考えながら治療に寄り添うのが柔道整復師や理学療法士にとって大切なことなのですが、実は、スクールフォトの世界にも通じることがあるなと感じているんです。

子どもたちの中には、元気いっぱいたくさん撮ってほしいお子さんもいれば、撮られたくないお子さんもいる。子どもたちの気持ちを汲み取って距離感を配慮しながら撮影していくことが大切かなと思っています。

そういう意味ではレザークラフトも同じなんです。元々は自分が好きで作り始めたものですが、自分の作品を楽しみに待っていてくださる方がいるので、心待ちにしてくださる方の喜ぶ姿を想像しながら作っています。

Qどんなお仕事も、相手のことを想像しながら「思いやる」そんなお気持ちを大切にされているんですね‼︎ スクールフォトとの出会いを教えてください。

仕事として取り組めばきっと腕を磨けるだろうと決意したカメラの仕事ですが、二足の草鞋で挑戦するにはハードルの高いお仕事で…ましてや私は三足ですから(笑)他の仕事をしながらでもチャレンジできる撮影分野がないかと探していました。

そんな時に見つけたのがスクールフォトの分野でした。我が子を撮ることがきっかけで始めた写真ですから、これまでの経験が活かせるのではないかと思いましたし、何より子どもたちを撮るということにワクワクしました。園の行事は土日のことが多いので、病院の仕事との両立もできますし、スクールフォトを知れば知るほど、子どもたちのために良い写真を撮りたいと思うようになりました。

「明日の励みになる一枚を撮りたい」私が撮りたいと思ったもの

Q未経験の分野へのチャレンジに不安はありませんでしたか?

未経験で大丈夫かな? と不安でしたが、なぜフォトグラファーを目指すのかという話をしっかりと聞いてもらえた上での採用だったので安心できました。

リンクエイジには研修制度もあって、アドバイスをくださる先輩方がたくさんいるのも魅力の一つです。

研修期間には、先輩フォトグラファーが同行してくれるので、丁寧にアドバイスをもらえます。本気で仕事にしたい‼︎という気持ちさえあれば、サポートしてくれる会社です。

今は「フォトグラファー」として歩き始めたという感覚です。今までの経験や年齢も関係ない世界で、あとは経験を積むだけですから、素直に教えてくださいという気持ちとやる気さえあれば挑戦させてもらえる環境だなと感謝しています。

Q吉野さんにとってスクールフォトグラファーはどんなお仕事ですか?他のお仕事と比較するとどうでしょう。

他の仕事と比較すると、予想以上に「瞬発力」が必要な仕事だなと思います。

子どもたちは本当に良く動きますし、色々な表情になります。この表情‼︎と思った次の瞬間にはまた違う表情をしているんです。この「今‼︎」という瞬間を切り取る「瞬発力」が難しいなと思っています。自分の子どもだけであればある程度の人数ですが、園ではたくさんの子どもたちがいるわけですから、その瞬間を切り取り続けるというのがスクールフォトの面白いところです。

リハビリの仕事は一対一で患者さんと向き合うので、一度に大勢の子どもたちと対峙するという点においては難しいなと感じることもあります。

Q「瞬発力」も必要で、かつ一度にたくさんのお子さんを撮るというのは大変なことですね。それでもスクールフォトにチャレンジするエネルギーはどこから湧いてくるのでしょう?

子育てで落ち込んだ時、子どもたちの写真や動画を見返して、当時のことを思い出しながら心が癒されたという経験はありませんか?

子育てって「可愛い‼︎」だけではない大仕事です。喜びもあれば上手くいかず落ち込むこともあるものです。私も4人の子どもを育てる父親なのでよく理解しているつもりです。

過去の写真や動画が、今の自分を助けてくれることもある、そういう経験があるからこそ、写真を手に取るご家族にとって「励み」になるような写真を撮りたいなと思っています。その思いがエネルギーになっていると思います。

お子さんの写真を見ながら、「また明日も頑張ろう」と思ってもらえたら嬉しいです。

欲張りでも良い‼︎ 私がチャレンジし続ける理由

Qお子さんたちの写真を見る保護者の気持ちにまで思いを馳せて写真を撮っているんですね。吉野さんがこれからチャレンジしてみたいことはありますか?

フォトグラファーとして次にチャレンジしたいことは、ペットの写真です。最近少しずつ勉強も始めました。

人間を撮るフォトスタジオは多いけれど、ペットが入れないお店もありますし、ペット単体の撮影はしてくれるけれど家族みんなでとなると…というケースもあるようで、理想としては、ペットも一緒に家族写真を撮ってあげたいなと思っています。

我が家にも猫が3匹いるんですが、彼らは吉野家にとって大切な家族の一員なのです。

「家族写真」というものを考えた時に、ペットがいるご家庭にとっては、人間だけのご家族を撮影しても完成した家族写真だとは言えません。当たり前のように、ペットも人間も一緒に「家族写真」が撮れるようになるといいなと思っています。

Qペットも家族の一員ですもんね‼︎ ご家族を大切にされている吉野さんのお人柄が伝わるチャレンジですね。たくさんのチャレンジ、本当にすごいです。

欲張りなだけかもしれませんが、一人でも多くの人にワクワクする気持ちや楽しい気持ちが伝わればいいなと思っていて、自分が行動を起こせば、そのきっかけを作れるんじゃないかなと思って色々なことにチャレンジしています。

それは、フォトグラファーという仕事に限らず、レザークラフトのアーティストとしても、柔道整復師・理学療法士としても、そして、一人の父親としても、自分が楽しい気持ちでいれば、きっとその輪が広げられると信じているからです。

家族も応援してくれていますし、色々なチャレンジをしながら、支えてくれる家族へ恩返ししていきたいなと思っています。

Qリンクエイジには「すべての愛を力に変える」というミッションがありますが、吉野さんにとって「愛」とは何でしょうか。

「思いやり」だと思います。仕事をする上でも大切にしていることなので、私にとって本当に大切にしていることです。

そして「目の前にいる人を大切に思って、その人の気持ちに寄り添うこと」が「思いやり」の始まりであり、「愛」のはじまりだと思います。

どんなに愛が強くても一方的ではダメなのが難しいところで、相手に寄り添って、お互いに共感できてはじめて「愛」を実感できるのかもしれません。

相手が、大人であっても、子どもでも同じです。患者様であっても、お客様であっても、家族であっても、誰に対しても同じことで、その「思いやり」が相手に伝わらないと「力」には変わってくれないと思うんです。

愛にあふれた毎日になるように、ワクワクできる毎日になるように、私はこれからも「思いやり」の気持ちを大切にしたいと思います。

時には患者さんに寄り添い、時にはものづくりで喜びを届け、時には子どもたちの奇跡の瞬間を撮る吉野さん。

愛しい我が子の成長を撮ろうと構えたカメラは、いつしかたくさんの子どもたちを写している。「思いやり」の心を知っている彼が撮る写真は愛にあふれ、今日もまた誰かを励まし癒し続けている。

Interviewee by Keisuke Yoshino
shk.wakuworks
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Interview, Text by Miya Ando
miya_ando

Photo by Leo Suzuki

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